凝雪倚天 仲合、同盟会話
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仲合物語
凝雪倚天:僕は倚天、屠龍の兄です。
破虜屠龍:おいおい、兄は俺の方だろ?
破虜屠龍:無剣、今のを真に受けるなよ、こいつがいつも言ってる弟の倚天だ。
倚天は眉にしわ寄せ、屠龍を無視して話を続けた。
凝雪倚天:弟はせっかちな性分ですし、きっとご迷惑をお掛けしていることでしょう。
無剣:そんなことないわ。
破虜屠龍:迷惑なんて掛けてないっての!
私は不意に軽く咳払いをした。
屠龍は倚天に比べて口下手なせいか、さきほどの自らの言葉が子供じみたものであるということに気付いてないようだ。
破虜屠龍:まぁいい、俺は酒を持ってくる!
屠龍を見送ったあと、私と倚天はお互いを見て少し笑った。
凝雪倚天:弟とはどうやって知り合ったんですか?
無剣:うん?屠龍から聞いてなかったの?
倚天の問いかけは少し予想外だった。
屠龍の話によると、二人は言い争うことはあっても、兄弟の仲はいいようだった。私を倚天に紹介するのなら、事前にある程度説明をするはず。
でもよくよく考えると、屠龍の性格であれば、私たちの出会いを説明するのは確かに恥ずかしいのだろう。
無剣:私は故人のため襄陽に来たの。まだ来たばかりの頃、屠龍が助けてくれてね、そこで知り合ったのよ。
凝雪倚天:そうなのね……
凝雪倚天:こちらこそ、貴方が屠龍を助けてくれたお陰で、みんなが襄陽の危機に気づくことができました。
凝雪倚天:今は城門も閉じていますし、城内は安全でしょう。
貴方は客人です、どうぞ御用事が済むまでゆっくりなさってください。
無剣:……
倚天の話は、私をここに留めているようにも聞こえるが、追い出そうとしている様にも聞こえる。
屠龍と比べ、倚天の性格は繊細で冷静、たとえ屠龍の紹介であっても、余所者である私への疑念は拭えないようだ。
いまここで弁明する必要はない。私は倚天に向かって頷いた。
無剣:ではお邪魔します。
凝雪倚天:無剣。
無剣:なに?
朝、街中に散策していると、倚天がこっそり私の背後についてきました。
凝雪倚天:まだ時間も早い、もう少し休んでいた方がいいのでは。
無剣:一日の計は朝にあり、朝は涼しくて散歩にいいのよ。
倚天は沈黙し、私と一緒に歩き始めた。
城門は閉じていた。襄陽の町は昔ほどの賑やかさはなくなり、街中にそれほど多くの人影は見当たらない。誰もが急ぎ足で歩いている。
倚天は軽くため息をついた。
無剣:そんなに心配しても仕方がないわよ。
凝雪倚天:……
倚天は私を見たが、何も言わなかった。
無剣:あなたは、私に手伝ってほしくはないの?
凝雪倚天:正体のわからぬ人を留めておくわけにはいきません。
無剣:ははっ!
凝雪倚天:ご無礼をお許しください。今は状況が状況です。襄陽の安全のため、私は何事にも注意を払わねばなりません。
無剣:あなたを責めたりしないわ。
倚天は頷き、何かを話そうとした。その時、突然前方から騒ぎが聞こえてきた。
無剣:行こう。
騒ぎの現場に着くと、帯刀の武者と少年が闘っていた。
私たちを見るやいなや、武者は後退し、逃げようとした。
凝雪倚天:トラ先輩、あの武者はいった?
トラ:俺もわからない、今朝からうちの周りでコソコソしてたんだ。
トラ:見たことのない顔だったから襄陽城の者じゃないと思ってな、話を聞こうとしたんだ。
トラ:けど、まだ何も言っていないうちに刀を抜いたもんだから、俺も応戦したってわけ。
凝雪倚天:僕が追おう。
無剣:一緒に行くわ。
倚天の返事を待たず、私は一歩先に武者が逃げた方向へ足を向ける。倚天は私に劣らぬ速さですぐ後ろに追いついた。
間もなく、私たちは武者に追い付いた。
凝雪倚天:待ちなさい。
帯刀武者:……
相手を制止させると、トラも後ろから追いついてきて、武者を包囲した。
逃げ場はないと知ったのは、武者も刀を抜き、臨戦態勢に入った。
倚天は、私とトラを見てから一歩前に進んだ。
凝雪倚天:下がりなさい。
鞘から剣を抜いた。
銀白の剣身は寒光を放ち、その鋭さを表しているようだ。
倚天が剣を握ると、剣身は白い霜を纏った。
力が湧きだし、倚天の長髪が闘気に吹かれていた。
無剣:(これは……)
無剣:(凝雪……の力?)
凝雪倚天:襄陽城は好き勝手に来られる場所じゃない。
凝雪倚天:参る!
剣の道
騒乱を鎮めた後、倚天は剣を収めて、私の方に振り向いた。
凝雪倚天:先ほどはなぜ後ろに下がらなかったのですか?
無剣:というと?
凝雪倚天:私が剣を抜く時は、後ろに下がるようにしてください。
凝雪倚天:さもなければ……
倚天は暗い顔をして黙り込んでいた。
無剣:さもなければ?
凝雪倚天:……
凝雪倚天:貴方が傷つくことになります。
無剣:…はぁ…
凝雪倚天:貴方……何を笑っているのです?
彼は少し怒ったような表情で言った。私は軽く首を振った。
凝雪倚天:私の力がまだ十分ではないのですね……
力……私の力か……
無剣:そんな心配をする必要はないわ。
慰めの言葉は凝雪倚天には受け入れられず、さらに苦い表情を浮かべた。
凝雪倚天:僕がまだまだ未熟だから、自分の技を制御できていないだけ……だからもうこの話は終わりにしましょう。
無剣:お断りだ。
無剣:あなたの力はもう同齢の者をはるかに凌駕しています。制御できないのは……おそらく他に原因があります。
凝雪倚天:……
凝雪倚天:私は……もう仲間を傷つけたくありません。
無剣:武者であるならば、それは避けられないものよ。
凝雪倚天:でも……僕は……
凝雪倚天:僕は力を制御しようと努力を重ねてきた、それでもまだ周りの人を傷つけてしまうことがある。
凝雪倚天:そうならないよう、毎回、周りの人を後ろに下がらせていたのです。
凝雪倚天:でもみんなは……僕が彼らを見下していると誤解して……僕から離れていった。
凝雪倚天:私の求めるものは剣の道だけなのに……なぜ……
無剣:思考の武学を求める道中には、途中で幾つもの困難と試練があるわ、
剣の道でも、無剣の境でもそれは皆同じです。
凝雪倚天:ねぇ……
倚天は強く剣を握り、何かを言おうとしたが、何も言わなかった。
無剣:自分を責めないで、過去に囚われてはいけませんよ。
仲直り
凝雪倚天:さようなら。
無剣:元気でね。
凝雪倚天:次に会うときはいつになるでしょうか。
凝雪倚天:一つ、言っておきたいことがあります。
無剣:話してください。
倚天は頭を下げながら剣を抑えた、いつも冷静なその顔が微かに赤らんでいる。
いつもの大人びた顔と違って、今の彼は子供のように見える。
凝雪倚天:あの……
凝雪倚天:先日の無礼を許してもらえないでしょうか。
予想外の言葉に、私は微笑んだ。
無剣:大丈夫よ。
倚天の目が一瞬大きく開いたが、すぐに視線を逸らしてしまった。
凝雪倚天:無剣……
無剣:なに?
凝雪倚天:ありがとう……
無剣:どうして感謝するの?
凝雪倚天:今日送ってくれて……
凝雪倚天:それと……襄陽を助けてくれて。
私は軽く首を振った。
無剣:感謝する必要はないわよ。私にできることは……それくらいしかないしね。
凝雪倚天:襄陽にとって……いや、皆にとってそれはとても有り難いこと。
無剣:……
少年は澄んだ瞳で私を見ていた。
凝雪倚天:あばよ!
笑顔を見せた後、倚天は城下へ飛び下り、そして間もなく地平線に消えて行った。
同盟会話
○○の凝雪倚天:この剣法はどう?
○○の凝雪倚天:あ、ありがとうございます。
○○の凝雪倚天:僕の力?あ……あなたですら分かるのか……
○○の凝雪倚天:襄陽城か……懐かしいな。
○○の凝雪倚天:物心つく前から、僕はあそこで暮らしているんだからな。
○○の凝雪倚天:あの異変さえなければ……
○○の凝雪倚天:貪欲、それこそ罪の根源だ。
○○の凝雪倚天:人間は永遠に満足することがない。他人のものを己のものにしようとする。
○○の凝雪倚天:ただ感じたことを言っただけだ、気にするな。
判詞
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